舌痛症とは
“身体表現性障害”の一種
舌痛症は専門的には“身体表現性障害”と呼ばれるものの一種で、これは簡単にご説明すると“舌に何も問題がないのに、症状がある”ことを指します。
つまり舌に器質的な病変がないにも関わらず、痛みなどの症状がある状態のことを言います。
そのため、舌の見た目に異常がなく、検査を受けても問題が見つからなかったのに、舌先のピリピリとした痛み、舌をやけどしたようなヒリヒリとした痛み、しびれなどの症状がある時は舌痛症が疑われます。
身体表現性障害と心身症の違い
身体表現性障害と心身症を混同されている方も多いのですが、これらは別のものとして考えなければいけません。
心身症とは、精神的ストレスや人間関係などにより、器質的な障害が生じてお体に悪影響をおよぼしている状態のことを言います。
ストレスにより発症することが多い胃潰瘍や十二指腸潰瘍などがこれにあたります。
一方、身体表現性障害とは、慢性的に続く痛みなどの症状の原因となる器質的な病変は認められず、人間関係にともなうストレスなどの心理的要因によって症状が現れている状態を言います。
古くから知られている病気
舌痛症は最近出てきた病気ではなく、古くから知られている病気です。
中高年の女性に多くみられます。症状があっても器質的な病変が見つからないため、歯科、耳鼻咽喉科、内科を受診しても「ストレスのせい」とるケースが多いようです。
その結果、ドクターショッピングを繰り返したり、症状があるのに我慢するしかないという患者様も多いです。
舌痛症の症状は?
ヒリヒリ・ピリピリ
痛みを感じる
やけどをしたような、
または痺れた
感覚をもつ
乾燥している
感覚が常にある
摂取した時
味覚を感じない
ときがある
ピリピリとした痛み・しびれなど
初期の舌痛症では舌先でピリピリとした痛みが現れ、そのままにしておくと舌にやけどを負ったようなヒリヒリした痛み、しびれなどの異常な感覚が感じられるようになります。
重症化した方の中には、「舌が焼けるように痛い」と訴える方もおられます。
日中、こうした症状が続くものの、就寝中は痛みがなくなるというのが特徴で、放置すると数ヶ月にわたって痛みが続く場合があります。味覚異常を訴えられる患者様もおられます。
舌痛症の主な症状
- 舌先のピリピリとした痛み
- 舌にやけどを負ったようなヒリヒリした痛み
- 舌のしびれ
- 日常生活に支障を来すほどの強い痛み
- 味覚の変化 など
舌痛症の症状の特徴
- 日中痛みが続くものの、就寝中や仕事中にはあまり感じない。
- 食事中は痛みを感じにくくなる
- 舌先に意識を集中すると痛みを感じやすくなる
- 緊張すると痛みを感じやすくなる など
舌の痛みの原因は?
心理的要因にあると考えます
“身体表現性障害”の一種である舌痛症の原因は心理的要因にあること考えています。
心理的要因は具体的には“不幸感”と考えられていて、人間が感じる不幸感の多くは人間関係に起因するものと言えます。
そのため、当院ではこの人間関係にフォーカスし、その方の人間関係や取り巻く環境をどうすればより良いものにできるのかを、カウンセリングを通じて一緒になって考えていき、舌痛症の症状の根本的な改善を目指します。
他の病気が原因で痛みが現れることも
舌の痛みを引き起こす病気として、舌炎や口内炎、カンジダ症、そして舌がんなどがあり、舌痛症の診断ではまずこれらの病気の可能性を除外しなければいけません。
舌が痛い時、特に患者様が心配されるのは舌がんですが、その可能性もよく調べて鑑別したうえで、舌痛症と診断されればご希望に応じてカウンセリングへ移らせていただきます。